いま、Webの世界が大きく変わろうとしている、と感じているのは私たちだけではないと思います。モバイルファーストの変革が起き始めています。

スマートフォンの登場で、Webの世界は一変しました。SNSの爆発的な広がりや、コンテンツ表示でもニュースキュレーションに見る新しいタイプのアプリが続々登場しています。

Webへの接し方は、PCを使って様々なサイトからサイトへ閲覧していくネットサーフィンから、特定のアプリを中心に閲覧するものに大きく変わってきています。そのためアメリカの著名なライターは、「Webは死んだ」とさえ言いました。

変化のベースにあるのは、スマートフォンの直観的でストレスのないタッチインターフェースに違いありません。ネイティブアプリの快適さを一度味わうと、アクセスのたびにバラバラに作られたページを再読み込みする、これまでのハイパーリンクで出来たWebへのアクセスが、面倒に見えてきます。

一方、ネイティブアプリも、どれだけダウンロード、インストールしてもらえるかという、し烈な競争にさらされています。スマートフォンのリソースはまだまだ限られているため、多くのアプリをインストールできません。ホーム画面も小さく、インストールされるアプリは平均数十で、頻繁に使われるアプリは1桁だといわれています。

スマートフォンは、いつでもWebにつながるコンピュータを持ち歩けるという、自由なデバイスであるはずです。しかし実際には、特定の少数アプリに利用が限られてしまう、不自由な使い方になっています。

この状況を脱する一つの方法として考えられるのが、インストールする必要のないブラウザ表示のHTML5アプリです。すでに動画配信サービスや音楽聞き放題サービス等では、専用サーバーと HTML5アプリの組み合わせでサービスが始まっています。

これらはSPA（シングルページアプリケーション）とも呼ばれ、HTML１ページ上にユーザの操作に応じて、専用サーバーから送られるコンテンツを次々と表示してゆきます。滑らかで、スピーディーなユーザビリティが特徴です。

このSPAを、専用サーバーを必要としない自律型にしたのがシングルパッカーのHTML5アプリです。HTML1ページにデータを一気に読み込み、全ページをまず1ページ内に展開します。

このHTML1ページ内には、ページを呼び出すたびに表示をリフレッシュするハイパーリンクは無く、全ページをスラスラめくれるユーザビリティを実現します。

自由なようで不自由なモバイルサービスの在り方は、変える必要があります。現在はスマートフォン等のモバイル興隆の第1フェーズに過ぎないと考えています。もっと自由なデバイスにするにはインストール不要のHTML5アプリが必要です。

スマートフォンのタッチインターフェースは、Webに大きな変化を求めています。すでに膨大なコンテンツがあり、さらに日々コンテンツが生み出されています。スマートフォンはあらゆるコンテンツを、もっと気軽に閲覧できるツールであるべきです。

インストール不要のHTML5アプリなら、アプリマーケットではなく、例えばQRコードからアクセスして気軽に閲覧できるアプリにできます。身近な商品や書籍、街角にQRコードを貼れば、そこがアプリの新しい入り口となります。

シングルパッカーのCMSには、既存のWebと連携、検索するエレメントがいくつも用意されています。RSSやブックマークを集めただけのアプリでも、とても便利に使えます。ブラウザ表示のHTML5アプリなので他のサイトにリンクしたとしてもタブ切り替えですぐ戻れます。

RSS集アプリは公開RSSリーダーのような使い方ができます。日々更新される膨大なコンテンツをスラスラめくり、気になったコンテンツを読む、使ってみると実に快適です。厳選されたニュースキュレーションも手軽ですが、万人向けのニュースは退屈でもあります。気になるジャンル、気になる人のディープなニュースをチェックするのも新しい発見になります。

私たちはPCで楽しんでいたネットサーフィンを、スマートフォンに蘇らせたいのです。それも家の中から街からお店から公園から、いつでもどこからでもWebに入って行ける新しいネットサーフィンです。

現在のスマートフォンは限られたアプリの中での利用になっていて、ユーザの見える範囲は狭くなる一方です。この狭い壁を壊し、スマートフォンの中にネットワーク本来の自由な空間を取り戻したいと思っています。

ブログやSNSがそうであったように、Webの世界は新しいツールの出現で、また大きく動き出します。シングルパッカーのHTML5アプリは、そうした可能性を持ったものの一つであると、私たちは確信しています。

シングルパッカースタッフ一同
株式会社テーブリアン代表 草薙裕二